
療育事業所の経営において、「加算」は収益を大きく左右する存在です。
同じ利用者数、同じ支援内容でも、加算の取り方次第で月に数十万円の差が出ることも珍しくありません。
ところが現場では、児発管や管理者が制度を正確に理解していなかったり、採用や体制の設計段階で加算を考慮していなかったりと、「もったいない運営」が起こりがちです。
この記事では、療育事業所オーナーの方に向けて、加算を最大限に活用するための視点とポイントをわかりやすく解説します。
新規立ち上げをお考えの方、今の運営に課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
加算ってどれくらい影響あるの?
療育事業所の収益構造において、「加算」はまさに生命線です。
たとえば、加配加算や保護者支援加算などは、しっかり運用すれば月数十万円単位の収益アップにつながります。
逆に言えば、取れる加算を取りこぼしていたり、制度を誤って理解していたりすると、売上・利益の両面で大きなロスになります。
「支援はしているけど、加算は取れていない」というのは非常にもったいない話。
加算は、制度として“取れるように設計されている”ものを、確実に拾っていくことが大切です。
現場の“あるある”ミス
実際の現場では、「やっているつもりでも加算要件を満たしていない」というケースが多く見られます。
たとえば、
- 個別支援計画が月をまたいで作成されている
- 保護者面談の記録が不十分
- 加配職員の配置時間が曖昧
こうしたちょっとしたミスで、本来取れるはずの加算が算定できないことがあるのです。
特に児発管や管理者が「制度の背景や細かな要件まで把握していない」と、現場は混乱し、結果的に損失が出ます。
加算を取るには、「現場任せ」ではなく制度を理解したうえでの運用ルールとマネジメント体制が必要です。
新規オープン時に大切な視点
事業所の開設時、どの職種をいつ・どのように配置するかは、加算設計に直結しています。
たとえば、
- 常勤/非常勤のバランス
- 専門職の採用時期
- 保護者支援体制の構築
これらを戦略的に考えないと、開所から数ヶ月は思ったように加算が取れないという事態に陥りがちです。
新規開設では「支援の体制」だけでなく、「加算が取れる体制」を最初から設計することで、収益構造の安定と早期黒字化が見えてきます。
よく取られている代表的な加算
ここでは、多くの療育事業所で活用されている加算とそのポイントを、簡単にご紹介します。
児童指導員加配加算
基準以上の児童指導員等を配置した場合に算定できる加算です。
ただ人数を増やすだけではなく、配置時間や対象者の記録整備も必要です。
また、職員の経験年数や常勤か非常勤かによっても加算額は変わってきますので、最適な配置が鍵となります。
欠席時対応加算(欠席加算)
利用児が欠席した際でも、保護者に連絡を取り、状況確認や家庭支援を行うことで算定できる加算です。
“対応すれば加算が発生する”という重要な仕組みですが、知らずに見逃されがちです。
子育てサポート加算
家庭との連携、福祉サービス紹介、育児相談などを行った場合に取れる加算です。
短時間の面談(例えば送迎の際の一言など)では認められないので実施時間にも注意が必要です。
家族支援加算
定期的な保護者面談や支援により算定されます。事業所内で実施するのか、オンライン等で実施するのかなど条件によって加算額が変わってきます。
面談の実施記録や内容の質・頻度が要件を満たしているかも重要です。
専門的支援実施加算
ST(言語聴覚士)やOT(作業療法士)など専門職による支援や評価を行った場合の加算です。
専門職の勤務形態や支援内容が要件を満たしているかを必ず確認しましょう。
知らなかったではもったいない
加算は、制度上「取れるように設計されているもの」です。
それを戦略的に拾いに行く視点と設計力が、これからの療育事業運営には欠かせません。
「支援の質を高めたい」と「経営を安定させたい」は、決して別の話ではありません。
加算を最大限活かすことは、その両方を実現することにつながります。
加算だけじゃない、運営の効率化がカギです
加算を取ることは重要ですが、それだけで収益が最大化するわけではありません。
職員のシフト設計、支援計画の運用、記録の標準化、ムダのない業務フローなど、日々の運営効率も大きな要素です。
なお、弊社がご提供している「オーナー様向けサポートサービス」では、実際の事業を運営してきた経営者が直接サポートにあたります。
机上の理論ではなく、「現場で結果を出してきた実践ノウハウ」で、開所前から軌道に乗るまで、しっかり伴走いたします。
ご相談はお気軽にどうぞ
「うちは本当に取れる加算を取れているのか?」
「開所初月から安定して運営できる体制にしたい」
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そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
貴事業所の状況に合わせて、加算設計・採用戦略・運営改善の最適化をご提案します。