スタッフ間の“すれ違い”が起こる理由とは？
療育の現場では、スタッフ同士の連携がうまくいかず、業務が滞ることがあります。
例えば、「あの人、最近いつも不満ばかり言ってるな」「なぜこの場面でこの判断？」といった違和感を覚えることはありませんか？
こうしたすれ違いの多くは、スタッフ同士の関係性や役割が曖昧なまま進んでしまっていることが原因です。
療育の質は、一人の専門性ではなく、チームとしての機能性にかかっています。だからこそ、チームの機能不全は、子どもたちの支援にも直結してしまうのです。
連携が噛み合わないスタッフの特徴
チーム内で決まった手順を守らなかったり、ミーティングに消極的だったり、どこか“他人事”のように振る舞うスタッフがいると、連携がうまくいきません。
その背景には、組織の共通ルールや価値観が共有されていないことがあります。
療育という繊細な現場だからこそ、「私たちは同じ目的に向かって進んでいる」という意識の共有が必要です。
例えば、定期的なミーティングで支援方針を確認したり、業務マニュアルを整備して共有することで、スタッフ間の認識を統一することができます。
支援現場にも“役割の勘違い”がある
リーダーが遠慮して指示が出せない、補助スタッフが判断を主導してしまう。
このような現象は、「役割と責任」が不明確な組織でよく見られます。療育現場ではフラットな関係が重視されがちですが、役割まであいまいにしてしまうと現場は迷子になります。
役割は明確に、でも関係性は温かく。それが基本です。
具体的には、各スタッフの役割と責任範囲を明文化し、定期的に確認することで、役割の勘違いを防ぐことができます。
評価軸のブレが招く混乱
「保護者がこう言ったから」「前の担当者はこうしていたから」など、判断の軸が人によってブレていると、支援は一貫性を失い、現場は混乱します。
スタッフが「何をもとに動けばいいのか」を明確にしておくことが、チームの安心感につながります。
例えば、業務上の判断や相談が必要な場合、「誰に、どの段階で確認すべきか」の流れを共有しておくことで、スムーズな連携と支援の一貫性につながります。
“動きづらさ”を感じたら、関係性を見直すチャンス
現場でのちょっとした“やりにくさ”や“伝えづらさ”は、構造的な問題が可視化され始めているサインです。
そのサインを「人のせい」にせず、組織の仕組みに目を向けて改善していく視点が大切です。
例えば、スタッフが抱える違和感や働きにくさは、改善のヒントです。形式ばらずに気軽に共有できるツール（共有ノートや意見箱など）を導入することで、スタッフの声を拾い上げ、改善につなげることができます。
【西村猛の視点】支援者同士の連携は、子どもへの支援力に直結する
療育現場の支援者は、「主役」ではなく「つなぎ役」です。
支援の質を高めるには、まず大人同士の関係性を整えることが欠かせません。組織の中で“誰がどう動くか”が明確であるほど、支援はスムーズで、子どもにとっても安心できる環境になります。
例えば、支援記録のレビュー会を定期的に実施し、支援の一貫性をチェックすることで、支援の質を高めることができます
また、「この支援は、子どもにとって適切か？」という視点をチームの共通言語にすることで、判断に迷ったときの基準を「子どもにとってどうか」に置くことができます。
支援の質を高めるために、まずは“スタッフの関係整理”から
療育の質は、スタッフ個々のスキルや熱意だけでは成り立ちません。
役割と関係性が整理されたチームだからこそ、子どもの可能性を引き出す支援が実現します。
現場の“違和感”は、見直しのチャンスです。個人を責める前に、仕組みを見直してみましょう。
【現場改善に活用できる5つの実践アクション】
- 月1回の「方針共有ミーティング」を設ける
支援方針や業務ルールの再確認を目的に、定期的な共有の場を設けましょう。短時間でも「同じ方向を向いている」ことを確認するだけで連携が安定します。 - スタッフの役割と責任範囲を「見える化」する
担当業務や責任の所在を簡潔に整理し、スタッフルーム等に掲示しておくことで、迷いや重複のない業務遂行が可能になります。 - 「判断・相談のフロー」をチーム内で明確にする
業務上の判断や相談が必要な場合、「誰に、どの段階で確認すべきか」の流れを共有しておくことが、スムーズな連携と支援の一貫性につながります。 - 日々の業務で感じた課題を「小さくメモ」して共有する仕組みをつくる
スタッフが抱える違和感や働きにくさは、改善のヒントです。形式ばらずに気軽に共有できるツール（共有ノートや意見箱など）を導入しましょう。 - 「この支援は、子どもにとって適切か？」という視点をチームの共通言語にする
判断に迷ったとき、最終的な基準を「子どもにとってどうか」に置くことで、支援の一貫性と質を保つことができます。
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