【療育事業所開所のコツ】「フランチャイズの甘い罠」療育事業所を失敗させないための選択肢とは?

はじめに

療育事業所の運営を検討する際、「フランチャイズ」という選択肢に魅力を感じる方も多いでしょう。

一定の知名度やノウハウを活用できる点で、特に初めて事業を始める方には安心感があります。

しかし、近年の療育業界を取り巻く状況を考えると、フランチャイズモデルには避けるべきリスクが潜んでいることが明らかです。

本記事では、その理由を解説するとともに、自社で強い療育事業所を運営する方法について具体的な提案をします。

制度改正がもたらす療育事業所運営への影響

近年、療育事業所の運営に影響を与える制度改正が相次いでいます。

その中でも特に注目すべきは、2024年の改正によって導入された療育時間に応じた基本利用料の変動です。

この改正により、短時間の療育プログラムの基本単価が低下し、長時間のプログラムがより求められるようになりました。

この変化によって、多くの事業所が長時間預かりへとシフトしています。

しかし、基本単価が下がったからといって、必ずしも長時間預かりに切り替えなければならないわけではありません。

加算額を得られるような付加価値のあるサービスを導入することで、無理に長時間預かりへ移行する必要はないのです。


一方で、フランチャイズ事業所では、画一的な指導方法が採用される傾向が強く、指導の質を一定に保つために長時間預かりや集団療育を主体とした仕組みが構築されていることが少なくありません。

このため、加盟店は独自の工夫を加えにくく、制度改正への柔軟な対応が難しくなります。


また、長時間預かりにシフトする事業所が増えている現状は、競争の激化を招いているとも言えます。

多くの事業所が同じ方向に進むことで、過当競争の中に巻き込まれるリスクが高まり、結果として経営の安定性を損なう可能性があります。

こうした状況を踏まえると、フランチャイズに依存せず、自社独自の療育方針を確立し、差別化を図ることが今後の成功のカギとなります

フランチャイズモデルのリスクとは?

大手療育事業所の運営リスクと事例

療育事業所の運営において、大手企業であっても安定性が保証されるわけではありません。近年では、制度改正や人材不足の影響により、事業縮小や撤退を余儀なくされるケースが増えています。

たとえば、放課後等デイサービス事業においては、人材不足や採算性の低下が課題となり、一部の大手企業でも拠点の統廃合を進める動きが見られます。また、行政の指導基準が厳格化される中で、運営方針を見直さざるを得ない事業者も増えています。

このように、大規模運営の事業所であっても、環境変化に対応できなければ経営が難しくなるのが現実です。そのため、フランチャイズに依存するのではなく、地域の特性や利用者のニーズに適した運営方針を持つことが、事業継続のカギとなります。

方針変更による混乱

フランチャイズに加盟している事業所では、フランチャイザーの方針変更が即座に影響を及ぼします。

例えば、新しい療育プログラムが導入されたり、サービス提供の形態が変更されたりすることで、現場の運営に大きな調整が必要となる場合があります。

特に、指導方法の変更や新たな評価基準の導入が義務付けられると、スタッフの再研修が必要になり、一時的に業務の負担が増加することが考えられます。


また、こうした方針変更は利用者にも影響を及ぼします。

保護者や子どもたちは、これまで慣れ親しんだ療育の内容が急に変更されることで、不安を感じることがあります。特に、特定のプログラムや支援方法に期待して通所している家庭にとっては、突然の変更が大きなストレスとなり、最悪の場合、事業所を離れる原因にもなり得ます。


さらに、フランチャイズの方針変更は、全加盟店に一律に適用されるケースが多いため、地域ごとのニーズに適した対応が難しくなることもあります。

例えば、個別療育が求められている地域であっても、本部の方針で集団療育の強化が決定されると、その地域の利用者ニーズとズレが生じ、結果的に利用者数の減少を招く可能性があります。


このように、フランチャイズの方針変更は、スタッフの業務負担を増加させるだけでなく、利用者の満足度低下や事業所の信頼低下につながるリスクがあるため、事業運営において慎重な判断が求められます。

ロイヤリティと収益構造の問題

フランチャイズに加盟すると、売上が減少しても一定のロイヤリティを支払い続ける必要があります。多くの場合、売上の一定割合(例えば10%)をフランチャイザーに納める契約となっており、利用者数が減少しても負担は変わりません。

そのため、収益が下がるほど経営状況が厳しくなるリスクがあります。


さらに、フランチャイズに加盟することで発生する固定費はロイヤリティだけではありません。フランチャイザー指定の教材やシステム利用料、広告費などが追加で発生することが一般的です。これらの費用は、事業所ごとの状況に関係なく支払いが求められるため、利益を圧迫する要因となります。


また、ロイヤリティを支払うことで、フランチャイズのブランド力を活用できるメリットはありますが、競争が激化している市場では、ブランド力だけで利用者を確保するのは難しくなっています。

結果として、本来注力すべき療育の質向上やスタッフの教育、地域に密着したマーケティング施策に投資できる資金が不足し、長期的な成長が妨げられる可能性があります。


このように、フランチャイズモデルでは売上が伸び悩んだ際に負担が大きくなるため、独自運営を選択し、自由な資金活用ができる体制を整えることが、安定した経営には重要です。

撤退時の利用者確保リスク

フランチャイズに加盟している事業所では、ブランドの知名度を活かして集客を行うことが一般的です。

しかし、フランチャイザーが方針を変更したり、契約が終了したりすると、その知名度の恩恵を受けられなくなります。その結果、独自の集客力が不足している事業所では、利用者の確保が難しくなる可能性があります。


また、フランチャイズの撤退が急に決まった場合、従来の利用者が「事業所が閉鎖するのではないか」と不安を感じ、他の療育事業所へ移るケースも考えられます。

このような状況に直面したとき、自社でのブランディングや集客の仕組みを確立していないと、大幅な利用者減少につながるリスクがあるのです。


こうしたリスクを回避するためには、フランチャイズに依存せず、自社独自の集客施策を強化することが重要です。例えば、地域での口コミを活用したり、ブログやSNSを活用して情報発信を行うことで、利用者の信頼を積み上げることが可能です。

自社運営による強みを活かした事業所づくり

小さくても強い事業所を目指す

フランチャイズに頼らず、自社で運営することには多くのメリットがあります。

まず、地域密着型の事業所であれば、地元のニーズに即した療育サービスを提供することが可能です。たとえば、小規模な事業所で個別療育を中心に行えば、保護者や利用者との信頼関係を築きやすくなります。


さらに、自社運営であれば、制度改正などの環境変化に柔軟に対応できます。収益モデルを最適化し、スタッフの教育にも重点を置くことで、持続可能な運営が実現します。


弊所(発達支援ゆず)も、「ゆすさんのような事業所を作りたい」というご希望をいただき、開所サポートをさせていただいておりますが、フランチャイズの形は取っていません。

その理由は、弊所のモデルを参考に、自社で療育理念を構築したり、質を高めることを行うだけでご利用者様から信頼を得て、人気の事業所になっておられるからです。(弊所の名前を使わなくても、モデルを参考にしていただくだけで上手く行きます)。


また、YouTube動画でサポートさせていただいている事業所様をご紹介させていただくなどでも周知は十分できます。

周知のためのフランチャイズの看板はいりません。このように必要なサポートがあればその部分だけをオプションとしてご活用いただくだけですので初期費用を大きく抑えることができます。

ちなみに弊所のブログは、月あたり1万ページビューです。またYouTubeチャンネルは4.3万人の登録者がいることから、動画内でご紹介するだけで「YouTubeチャンネルを見ました」というお問い合わせが増えるなどの成果も出ています。

自社の取り組みを発信してファンを作る

現代では、ブログやSNSを活用して自社の取り組みを発信することが重要です。

具体的には、“療育の質を高めるために行っている独自のプログラム”や“保護者の声を取り入れたサービス改善”などを共有することで、利用者との距離を縮められます。

たとえば、ある地方都市で運営されている療育事業所様(弊所サポートの事業所様)は、ティックトックを活用して日々発信し、多くの再生回数を得ることで、地域の保護者からの支持を集めています。

このような取り組みは、フランチャイズに頼らない信頼構築の一例です。

理念に賛同するスタッフの採用

フランチャイズモデルでは、一定のブランド力があるため、採用時に知名度を活かせる一方で、スタッフの価値観や理念が必ずしも事業所と一致するとは限りません。

フランチャイザーの方針に沿った採用基準があるため、各事業所の独自性を重視した採用が難しくなるケースもあります。その結果、採用されたスタッフの意識にバラつきが生じ、組織全体の統一感が損なわれることがあります。


一方で、自社で理念を構築し、それに基づいて採用を進めることで、価値観を共有できる人材を確保しやすくなります。

自社の理念に共感するスタッフを採用することで、現場の意思統一が図られ、チームワークの強化につながります。

また、理念を軸とした採用プロセスを実施することで、長期的に事業に貢献できる人材を確保しやすくなり、定着率の向上にも寄与します。


さらに、自社理念を重視する採用では、スタッフが療育の本質的な価値を理解し、主体的に業務に取り組む文化を醸成できます。

これは、療育の質の向上だけでなく、利用者や保護者との信頼関係を築くうえでも重要です。スタッフ一人ひとりが理念を理解し、それを実践することで、利用者にとっても一貫性のあるサービスを提供できるため、結果的に満足度の向上にもつながります。

求人広告や採用プロセスにおいても、理念を前面に出すことで、共感する人材を引き寄せやすくなり、短期的な人材補充ではなく、長期的な成長を見据えた採用が可能になります。


このように、自社理念を構築し、それに基づいた採用を進めることは、事業所の安定的な運営と、質の高い療育サービスの提供に不可欠です。理念の明確化と浸透を図ることで、スタッフ全員が共通の目標を持ち、利用者に選ばれる事業所を築くことができます。

まとめ

フランチャイズモデルには一定の魅力がありますが、療育事業所の運営では多くのリスクが伴います。

自社で小さくても強い事業所を作り、地域に根差した運営を行う方が、長期的には安定した経営と高い利用者満足度を実現できるでしょう。

自社運営を目指す方には、弊社代表が直接サポートさせていただく「児童発達支援事業所開所サポートサービス」をご提供しています。事前無料相談も実施していますので、お気軽にお問い合わせください。